2026.10.20
試算表を経営に活かす:医療法人の院長が毎月見たい数字
2026年10月時点の情報です。
この記事でわかること
- 試算表(毎月の経営の成績表)で、まず見たい数字
- 数字を「前の月」「前の年」と比べる見方
- 試算表を経営判断に使うための準備
試算表は、毎月の収入・費用や、資産・借入の状況をまとめた「経営の成績表」です。決算書が1年に1回の成績表だとすると、試算表は毎月の成績表にあたります。
「試算表は届いているけれど、どこを見ればよいかわからない」と感じている方もいるのではないでしょうか。この記事では、医療法人の院長が毎月押さえておきたい数字を整理します。
1. 医業収入:合計だけでなく内訳を見る
まず見たいのは収入(医業収益)です。合計額だけでなく、次のように分けて見ると、増減の理由がつかみやすくなります。
- 保険診療の収入と、自費診療の収入
- 外来と入院(有床の場合)
- 患者数と、患者1人あたりの単価
収入が減ったときに、「患者数が減ったのか」「単価が下がったのか」を分けて見ることで、打つべき手が変わってきます。
2. 人件費:収入に対する割合で見る
医療機関の費用の中で、大きな割合を占めることが多いのが人件費です。金額だけでなく、医業収入に対して何%かという割合で見ておくと、採用や昇給を考えるときの判断材料になります。
賞与の支給月は人件費が大きく見えるため、月ごとの比較だけでなく、年間を通した見方も大切です。
3. 材料費・外注費:単価と使用量の変化に気づく
医薬品や診療材料などの材料費、検査の外注費は、患者数の増減とともに動く費用です。患者数が変わっていないのに材料費が増えている場合は、仕入れ値や使い方に変化がないかを確認するきっかけになります。
4. 手元資金と借入:利益とお金の動きは別
試算表で利益が出ていても、手元のお金が増えているとは限りません。借入金の返済は費用には含まれず、設備の購入も原則として何年かに分けて費用にする(減価償却)ためです。
- 預金残高の推移
- 借入金の残高と、毎月の返済額
- 保険診療の入金のタイミング(診療から入金まで一定の期間がかかる)
このあたりを毎月確認しておくと、設備投資や分院の検討、賞与の資金準備などを落ち着いて判断できます。
5. 比べ方:前の月と、前の年の同じ月
数字は1か月分だけを見ても判断しにくいものです。前の月と比べると直近の変化が、前の年の同じ月と比べると季節の影響を除いた変化が見えてきます。
6. 試算表を「使える」ものにするための準備
- 早く届くこと:月が終わってから何か月も後では、判断に間に合いません。資料の受け渡し方法や締めの日程を見直すと、早くできることがあります。
- 見る数字を決めておくこと:毎月見る数字を5〜10個程度に絞り、同じ形で並べておくと、変化に気づきやすくなります。
- 説明を受ける機会があること:数字の変化の理由を、税理士などの専門家と一緒に確認する時間を設けると、次の打ち手を考えやすくなります。
まとめ
- 医業収入は合計だけでなく、患者数と単価、保険と自費に分けて見る
- 人件費は収入に対する割合で、材料費は患者数とあわせて見る
- 利益とお金の動きは別。預金残高と借入の返済も毎月確認する
当法人では、医療・介護分野の経営コンサルティングに携わった経験を持つ代表を中心に、毎月の数字づくりと、その見方のご説明をしています。詳しくはサービスのページをご覧ください。
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